藍井エイル「青く、青く」:空白は白いままに、新しいカンヴァスに青い色を塗る
約一年のインターバルを経て、藍井エイルが新しい曲を2023年の終わりに配信しました。タイトルは「青く、青く」です。アルバムのジャケット、ステージ衣装、歌詞のモチーフなど、さまざまな場面に登場した色を新しい曲に冠し、歌を吹き込みます。
エイルは2023年1月にアルバム『KALEIDOSCOPE』を発表した後、体調不良により活動を休止しました。経緯が「MouLa HOKKAIDO」のインタビューに掲載されています。エイルを見出したソングライターの安田史生を相手に、この一年やこれからについて語ります。大怪我を負ったという事実を含め、いくつもの点で驚きました。話してくれたことに感謝します。
「青く、青く」のアプローチは、リズミカルに鳴るピアノの音を軸にして、ギターやベースなどが重なるポップ・ロック。なかでも印象に残る音がストリングスです。力強く響く美麗なストリングスは、ときに爽やかな空気を運び、ときに繊細さを感じさせ、曲を包み込みます。ひとつの曲で角度の異なるストリングスの魅力が味わえます。そうした音に馴染むボーカルは、以前と同じ心地よさを届けてくれます。
音楽家が活動を続けるにしても停止するにしても、僕は結果を受け止めるだけです。音楽に対価を求めているわけではないから。けれども、明るいニュースが届いたときの感動が大きいのも事実です。アーティストが歌いたい、音を作りたいと思ったとき、その音楽的衝動をリアルタイムに享受できることが嬉しい。エイルの肉声が復活したことで、音楽に対する自分の気持ちが再確認できました。