藍井エイル「I will… (THE FIRST TAKE)」:メロディの輪郭を描く歌声、触れて熱を感じるTHIRD IMPRESSION

fujiokashinya
3 min readOct 1, 2020

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藍井エイルがTHE FIRST TAKEで「I will…」を披露しました。今年の夏にリリースされた「I will…」は、起伏のある展開が特徴的ですが、さらに表情豊かで叙情的なメロディもこの曲の魅力です。メロディがいかに魅力的かということを改めて感じたのが、このTHE FIRST TAKEです。これまでライブや音楽番組で目にしたパフォーマンスとは違う切り口で披露されたことで、そのメロディに意識が集中しました。

ピアノの伴奏で歌い始め、パーカッションとベースとアコースティック・ギターが静かに加わります。やがて音が跳ねるように明るくなり、リズミカルに響く。その後も音は緩急をつけて聴き手を導きます。心地好い音の流れのなかで全体を貫くのがエイルの歌声であり、いつも以上にタフな印象を受けました。それはアコースティック・スタイルの音だからか、THE FIRST TAKEの緊張感からか、あるいは両者が絡み合っているのか。

タフな歌声によって、僕のなかでメロディの存在感が大きくなります。「I will…」は音楽番組やオンラインのライブでも歌われましたが、同じ生のパフォーマンスであっても、それらとは異なる独特なものを感じました。メロディに物理的な形があるとすれば、その表面に触れて熱を感じる、いうなれば「メロディとの距離がぐっと縮まった」感覚を抱きます。特に心が震えたのが ♪ねえ どれだけの 時間があったとしても♪ の部分です。THE FIRST TAKEを観たあとで改めて「I will…」を聴くと、メロディは以前よりも叙情的に感じられ、さらに、そのメロディに以前よりも強く惹かれていることを自覚しました。

初めて聴いたときの印象をfirst impression、インストゥルメンタルを通して曲を違う角度から捉えた記憶をsecond impressionとするならば、THE FIRST TAKEのパフォーマンスで受けた衝撃がthird impressionです。「I will…」の新たな面に接するたび、印象が刷新されます。それは、新しい音楽を知るのと同じくらい魅力的で、それとは別の方向に世界を拡げてくれる素晴らしい音楽体験です。

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