ポルカドットスティングレイ「化身」:危ういバランスで魅せるスリリングなロック・パフォーマンス
Feb 15, 2021
ポルカドットスティングレイという四人組を知ったのは「ヒミツ」がリリースされた頃です。映画の宣伝でよく流れていたために記憶に残りました。曲をきちんと聴いてみると、切迫感のあるボーカルが印象に残りました。
しばらく間が空き、再びこのバンドの曲を聴きます。それが「化身」です。ミュージック・ビデオを流す番組で目にして、この曲を知りました。インパクトのあるアニメーションに目を奪われながら、やがて意識下に潜っていた歌声の記憶が浮上します。
ギターを中心としたサウンドには勢いがあるのはもちろんのこと、そこにサーカスのようなスリリングさが加わります。不安定な場所で巧みにバランスをとり、軽やかに宙を舞い、観客をハラハラさせながらも興奮を呼ぶパフォーマンス。その危険な香りは癖になります。
また、聴き始めた瞬間の印象が、曲が進むにつれて変わっていきます。柔らかそうに見えて鋭く、クールに見えてエモーショナルです。同じメロディを歌っていて、同じフレーズを弾いているはずなのに、「さっきとは違う気がする」という奇妙な感覚に襲われます。ちょっとずつズレていく世界。曲がカット・アウトしたとき、見たことのない場所にひとり残されているような気がしました。