Zedd「Sona [feat. the olllam]」:美しく流れる旋律に身を任せ、多幸感あふれる音に酔う
Zeddの三枚目のアルバム『Telos』には、インストゥルメンタルが一曲だけ収録されています。タイトルは「Sona」です。この曲には、the olllamがソングライティングと演奏で参加しています。アイルランドの管楽器を操るグループであり、“olllam” とは、古いアイルランド語で “a grand master of a skill” を意味する言葉に由来するそうです。
ロー・ホイッスルとイリアン・パイプスのオーガニックな音が濃厚な哀愁を運びます。しかしそれは吹けば飛ぶような儚さを意味しません。切なさを強く感じる一方で、エネルギッシュで存在感あふれる音が「Sona」を先導します。強いタッチのシンセサイザー・サウンドに負けることなく、曲をドラマチックに盛り上げます。
イリアン・パイプスはバグパイプの一種です。演奏者が息を吹き込むのではなく、肘で鞴(ふいご)を操って空気を送ります。バグパイプより低くて太く、少し濁った独特の音が響きます。初めて耳にする音です。世の中には自分の知らない音がたくさんあります。
注目すべきはエンディングです。清流を思わせる美しいメロディに身を任せて、多幸感あふれる音に酔います。時間を忘れ、ずっと浸っていたい。さらに魅力的な仕掛けが含まれます。エンディングのメロディは、アルバムで次に配置された「Lucky」のイントロと同じものです。続けて聴くと幸せな時間がつながります。曲名の「Sona」はアイルランド語で幸せや幸運を意味する言葉であり、曲名も音も「Lucky」と重ねているのは狙ってのことでしょう。言葉でつながり、音でつながる素敵なアプローチです。