Zedd「1685 [feat. Muse]」:交錯するZeddとMuseとBachの感性、オーケストレーションとエレクトロニック・サウンドの共存
Zeddのアルバム『Telos』の最後を飾るのは「1685」と題した曲であり、Museとのコラボレーションで生まれました。Johann Sebastian Bachの「Das Wohltemperirte Clavier(平均律クラヴィーア曲集)」をモチーフにした美しいバラードです。曲名はBachの生年と思われます。
旋律と歌と音が一体となって荘厳な盛り上がりを見せます。ZeddとMuseとBachの感性が交錯したというべきでしょうか。オーケストレーションとエレクトロニック・サウンドが共存し、朗々と歌い上げるボーカルが重なります。目の前にそびえ立つ壁の如く圧倒的な音楽世界が広がりますが、不思議と圧迫感はありません。目を閉じて祈りの姿勢をとりたくなる、そんな包容力を感じます。
音が消えて曲が終わった――と思いきや、ストリングスの優しい音が舞い戻る。さながら映画のエンドロールです。空白から音が再び姿を見せるのは、アルバムの終幕を飾る演出でしょうか。レコーディング風景に重ねて各曲のクレジットを紹介する映像では、この部分が流れています。
アルバムが出た後、短く編集したシングル・バージョンがリリースされました。シングルにはインストゥルメンタルとア・カペラも収録されていて、ともにボーカル・トラックの存在感がいかに大きいかが伝わるトラックです。そしてインストゥルメンタルでは、すべての意識を音に集中させることで、改めて音の美しさが味わえます。ストリングスが奏でるBachの旋律に身を任せ、心を委ね、音の世界に没入しましょう。