underworld「Shudder/King Of Snake」:心を支配するGROOVEの祭典、絶え間なく降り注ぐ音に震えて踊れ
好きなunderworldの曲を挙げるとき、僕が間違いなく選ぶのは「Shudder/King Of Snake」です。トリオ時代の三枚目のアルバム『Beaucoup Fish』に収録されています。初めて聴いたとき、想像以上に格好良くて、ワイルドな音に惚れました。心を撃ち抜かれたときの衝撃は忘れられません。
underworldに対する「ダウナーな音の繰り返しで聴き手を沼に引きずり込む」という僕のイメージを、この曲が覆しました。強いタッチのシンセサイザー・サウンドで聴き手を殴打するエレクトロニック・ミュージックです。ウワモノを支えるリズム、特にベースは、それ自体が存在感を示します。ベースの生み出すグルーヴに酔って高揚する、重なるウワモノがさらなる興奮を呼ぶ。
ソングライティングのクレジットを見て不思議に思い、調べてみるとDonna Summerの「I Feel Love」が使われていることを知りました。改めて両者を聴きなおすと、確かにベースを引用しているのが分かります。ディスコ・ソング特有の色気は、テンポを上げた「Shudder/King Of Snake」でスポーツカーのような疾走感に変わりました。素晴らしいリプロダクションです。
2000年にリリースされたライブ盤『EVERYTHING, EVERYTHING』でライブテイクが聴けます。目の前に広がるのは、大勢の観客を圧倒するグルーヴです。音の抜き差しでダイナミックな展開を演出するパフォーマンス、サウンドの一部と化しながら観客を煽るボーカル。後半になってウワモノどころかキック、さらにベースすらもミュートすると、ボーカルだけで間をつなぎ、観客を焦らします。そして再びベースが入ってきて僕らを高揚させ、どんどん音は厚みを取り戻す――ミュートする前より体感速度が上がっている気さえしました。