trf「Overnight Sensation」:緻密に編まれた音に身を任せる
Dec 19, 2022
初めて聴いたときは聞き流すだけだった音楽も、時間が経つことで印象が変わり、深く聴き込むことがあります。ファンクやクラブ・ジャズが好きになってから改めてtrfを聴いたとき、「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」に強く惹かれました。今でも音楽チャートの記録やリリース枚数に言及されやすい時期の曲ですが、音楽的な魅力に満ちていることは疑いようもありません。
軽やかに舞うパーカッションに絡みながらベースとドラムが生み出す、ディスコ・ソング系のリズム。聴き手に与えられた選択肢はひとつ――すなわち、踊るのみです。サウンドの魅力は「Overnight Sensation -12'’ Remix-」でさらに強まります。ファンクの色が濃くなったリミックスです。ベースやコンガの音が色っぽく響き、その一方でピアノの演奏はスリリングで震えます。
ボーカルやコーラスによる表現も印象に残ります。クールで色気を感じさせるイントロやサビ、明るく軽やかに歌うポップなAメロ・Bメロに、「陰」と「陽」のコントラストを感じました。その要因は果たして歌メロかYU-KIの歌声か、あるいは歌詞の違いなのか。おそらくすべてが絡み合って生まれた素晴らしいコントラストなのだと思います。