TM NETWORK「WORLD’S END」:20世紀の終幕に向けて疾走した1990TMNロック
1990年、TMNリニューアル。TM NETWORKがTMNとして初めて発表したシングル、その二曲目に収録されたのが「WORLD’S END」です。表題曲とともにTMNのロック・サウンドを印象づける役割を担いました。同年に発表したアルバム『RHYTHM RED』でも聴くことができます。
「WORLD’S END」の始まりはジャム・セッションのようです。ゆるやかなテンポでオルガンとギターとベースとドラムが演奏し、音の塊を作り出します。やがてギアは上がり、歌が入る頃にはスピード・メーターが上昇して疾走を始めます。テンポアップした曲を支配する、網目の細かいロック・パフォーマンス。すべての音が主役といえますが、特筆すべきはベースでしょうか。唸りをあげる太く分厚いベースは、ハード・ロックに傾倒した1990年のTMNならではの音です。ワイルドな音に負けず劣らずウツのボーカルも存在感を示し、タフな歌をぶつけます。求められる言葉が多く、自然と早口になるボーカルです。歌も体感速度の上昇に一役買っており、聴いていると背中を押され、自然と大地を蹴る足に力が入ります。
〈RHYTHM RED TMN TOUR〉で「WORLD’S END」を披露した映像が公開されています。音楽番組「eZ」でオンエアされたもので、ツアー後にリリースされたビデオとは別の映像です。小室さんのブースにはMoog MemorymoogやYAMAHA EOSなど各種キーボードが配置されていますが、この曲で活躍したHAMMONDはステージの前方に置かれました。HAMMONDのフォルムの格好良さ、1970年代ロックの魅力を視覚的に強調した演出です。エンディングで畳みかけるように弾く小室さんのパフォーマンスに魅せられ、HAMMONDならではのキーボード・サウンドに酔います。