TM NETWORK「WE LOVE THE EARTH -TK Remix-」:濃密な哀愁に包まれる音、哀愁を包み込む叙情的な歌
TM NETWORKのアルバム『DEVOTION』に収録された「WE LOVE THE EARTH -TK Remix-」は、2021~22年のライブでのアレンジをもとにしたリミックスです。1991年にリリースされたオリジナルの明るさやポップさ、『EXPO』でのOoh, Ah, Ah, Mixの無機質さとは異なる、第三のアプローチで構成されたサウンドが聴けます。
マイナー調にアレンジされたTK Remixは、イントロから「WE LOVE THE EARTH」だと認識できない音で始まります。2021年に初めて聴いたときは、どの曲なのかしばらく分からず、予告なしの新曲披露かと思ったほどです。冷たくメランコリックな空気を漂わせ、哀愁の衣をまとったシンセサイザー・サウンドが曲を支配します。
ウツは言葉を明確にして、メロディの端々に曲線をつけて歌います。新たに録音されたボーカルに、オリジナルどころか他の曲とも異なる、このリミックスだけの深みを感じました。装いを変えた音と溶け合いながらも、音が滲ませる哀愁を抱き寄せ、包み込むかのような歌です。
どの音も素晴らしいのですが、TK Remixで強く惹かれたのは終盤の間奏からサビ、エンディングにかけて鳴るピアノです。雨粒がぽつぽつと落ちるかのようなピアノの音は、曲の頭から少しずつ濃度を上げていった哀愁をさらに強め、美しいラスト・シーンを演出します。残る余韻もまた美しく、この無音をピアノの記憶が引き立てます。