TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days [Part2]

fujiokashinya
Aug 29, 2022

--

TM NETWORKのツアー〈TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days〉では、EDM成分多めのサウンドが会場に張り巡らされました。序盤の「あの夏を忘れない」「BE TOGETHER」、終盤の「GET WILD」「SELF CONTROL」など多くの場面で、リズムの嵐が観客を呑み込みます。また、「SELF CONTROL」と「I am」の間では、尖った重厚なリズムにMoog Oneの強力な音を重ねていて、隙あらば肉厚なシンセサイザー・サウンドを会場の隅々まで届けました。

あと少しでサウンドのバランスが崩壊するのではないかと思うほどにキックもスネアも重く分厚くて、力強く鳴り響きました。その最たる曲が「KISS YOU」です。2004年の〈TM NETWORK DOUBLE-DECADE “NETWORK”〉を彷彿とさせるアプローチであり、僕は「DOUBLE-DECADEのアップグレード版」だと捉えています。2004年はトランスに傾倒した挑戦的なアレンジでしたが、それを上回るであろう挑戦を、今度はEDMで仕掛けてきました。このスリルに満ちたマッドな試みこそ、TM NETWORKのステージの魅力です。

Moog Oneを筆頭に小室さんが弾くシンセサイザーは厳選されました。台数は少ないものの、MoogやVirusといったハード・シンセの音が放つ存在感は半端なものではありません。生で聴くと――否、浴びると、その素晴らしさがよく分かります。特筆すべきは、30年ほどの時を越えて再登場したMoog Memorymoogです。「BEYOND THE TIME」や、日によっては「How Crash?」「GIVE YOU A BEAT」で響いたMoog Memorymoogの音に、思わず前のめりになりました。主に〈RHYTHM RED TMN TOUR〉で多用されたシンセサイザーであり、ビデオやライブ盤だけで耳にした音を実際に聴けたことで、自分のなかにあった空白がひとつ埋まります。

今回のライブは徹底して曲のパフォーマンスで構成されていて、〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉に盛り込まれた物語は語られずに終わりました。曲と曲の間に映像を流して物語の続きを綴るのではないかという僕の予想は見事に裏切られます。バトンが登場する「Please Heal The World」を除き、使われた映像は抽象的なものや過去の三人の映像です。いずれにしても一貫したストーリーを見出すことはできません。9月の追加公演で、あるいはディスクにまとめられるときに何か追加される可能性もあり、今回の演出の意味を理解するには、もう少し時間が必要です。

--

--

fujiokashinya
fujiokashinya

Written by fujiokashinya

I am just a music/book lover. 音楽体験NOTESとブック・レポート My Twitter page: https://twitter.com/fujiokashinya

Responses (1)