TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days [Part1]
会場が暗くなり、ステージを音と光のエンターテインメントが支配します。観客の身体を貫かんばかりに響く爆音のドラミング、それに呼応してステージを鋭く照らすライティング。音と光の衝突が何度も何度も繰り返され、それが頂点に達したとき、TM NETWORKが放ったバトンと地球の姿がスクリーンに映し出されます。予告されていたメロディが流れ、新しいライブの幕が上がりました。
2022年7月末に始まった〈TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days〉は、2021年10月から2022年2月にかけて配信されたライブ〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉を継ぐツアーです。4月の終わりにNFTで販売された新曲「Please Heal The World」がオープニングを飾ることが予告されており、その音源を聴きながら、何が飛び出すか想像を巡らせてツアーの開始を待ちました。
ステージに立つのは、黒いシックな衣装に身を包んだTM NETWORKの三人。リズムやシーケンサー、ギターなどの音を流し、そこに三人のパフォーマンスを重ねます。この「三人だけのステージ」というスタイルは、映像を収録・配信した〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉の踏襲ですが、今回は生のステージで実現しました。「8月の長い夜」や「IT’S GONNA BE ALRIGHT」といった意外な選曲を含め、前回のアレンジを発展させた「BE TOGETHER」や「SELF CONTROL」、木根さんと小室さんのソロに組み込まれた「GIRLFRIEND」や「GIVE YOU A BEAT」など、興味深い組み合わせのセット・リストでした。
選曲の面で嬉しかったのは、小室さんのソロで披露されたインストゥルメンタルです。このタイトル未定の曲は〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉の各回の最後に流れ、ツアーの告知映像にも使われています。ラテン・ミュージックらしさを醸すピアノ、ティンバレスを思わせるパーカッシブな音、曲に色気を与えるベースなど、魅力的な音が詰め込まれた曲です。ライブでは、リズムが分厚くなったトラックを下敷きにして、ピアノの部分を弾きました。もともと哀愁を感じさせるメロディが、さらに濃くなる演奏でした。