TM NETWORK「SELF CONTROL (TM NETWORK How Do You Crash It?)」:曲を貫くシンセサイザーのリフ、伸びやかに響く歌声、聴き手を包む疾走感
2021年から始まったTM NETWORKの新プロジェクトは、最初のプログラムである「How Do You Crash It?」シリーズをまとめると、次のプログラムを予告しました。その起動が迫るなか、〈How Do You Crash It? three〉で披露された曲の映像が公開されました。ライブ定番曲のひとつである「SELF CONTROL」です。
「SELF CONTROL」は1987年にシングルとして発表され、ライブでもよく演奏されてきました。イントロのリフだけで一曲を作った、とは小室さんの弁です(『キーボード・ランド』1987年3月号)。曲の頭から響くシンセサイザーのリフは、そのままAメロを駆け抜け、Bメロで一度消えますが、またサビで登場します。疾走感や爽快感があるのは、このリフが軸になっているからです。
また、「いかにサウンドを埋めないか」という点で苦労したらしく、結果として「ドラム、8分のシンセ・ベース、ギターにシンセのリフ、あとはたまに入るクラップとか、TMにしてはシンプル」な曲が完成しました(同書)。そのシンプルさが魅力であり、ライブでも大幅に変わることはなく、リミックスもありません。ライブ・テイクを除けば、「SELF CONTROL 2014」というEDM系のリメイクが唯一の別バージョンです。
threeでは、2014年のトラックを下敷きにしていました。疾走感に拍車がかかり、それは間奏でリズムが抜けてもキープされ、むしろ加速させます。シンプルながらも密度の大きい四つ打ち、覚えやすいシンセサイザーのリフ、アクセントで入る木根さんのギターが、追い風のように身体を押してくれます。そこに加わるボーカルも重要なポイントです。「SELF CONTROL」を貫く疾走感の演出に、伸びやかに響くウツの歌は欠かせません。