TM NETWORK「SECRET RHYTHM」：吹き荒れるロック・サウンドに襲われ、聴き手は意識を刷新する

TM NETWORKは1990年に名称をTMNと変え、アルバム『RHYTHM RED』をリリースしました。アルバムを構成する曲はいずれもロック・テイストに満ちています。そのうちのひとつである「SECRET RHYTHM」は、若干のコーラスを加えているものの、ほとんどインストゥルメンタルといってもよい曲です。

Moog Memorymoogが「SECRET RHYTHM」の開幕を飾ると、スネアの音が曲を支配しようと響き、負けじとギターやベースも存在感を放ちます。どの音も攻撃的で、強力な音のアンサンブルが展開します。シンセサイザーとギターで奏でるメロディは攻撃性のなかに美しさが垣間見え、危険なものに惹かれる危うさをイメージさせます。ライブでも小室さんのキーボード・プレイが光り、原曲にはないリリカルなフレーズをYAMAHA EOSで弾く場面もありました。

TMNへのリニューアルと『RHYTHM RED』の本質とは何か。それは「TMNによるTM NETWORKらしさへの挑戦」ではないでしょうか。収録曲は各々の角度からその挑戦を体現します。歌モノではなく、ポップさからも離れた「SECRET RHYTHM」は一際目立って挑戦的な曲です。

リニューアルは聴き手の意識にも変化を促します。この路線を受け入れがたかったファンもいますが、多くは新たなスタイルを歓迎し、新たなリスナーも生まれました。音楽スタイルの大胆な変化は必然的に聴き手をフィルターにかけます。けれども、TM NETWORKのフィルターを通った先に待っているのは、いつだって未知の音楽体験です。

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