TM NETWORK「RHYTHM RED BEAT BLACK -VERSION 2.0-」:リニューアルで築いたロック・スタイルを自ら破壊し、ハウス・ミュージックという新しいスタイルを模索する
TM NETWORKは1990年12月に「RHYTHM RED BEAT BLACK」をアルバム『RHYTHM RED』からシングル・カットすると、同曲の新しいバージョン「RHYTHM RED BEAT BLACK -VERSION 2.0-」を翌年の2月に発表しました。
「RHYTHM RED BEAT BLACK」はロックを標榜したアルバムのなかでもカラーが異なり、ロックとハウス・ミュージックの混淆が見られる曲です。エレクトリック・ギターとシンセサイザーで同じメロディを奏で、それらを徹底的にループさせています。オリジナルからロックの要素を削ぎ落とし、ハウス・ミュージックに大きく寄せたのがVERSION 2.0です。
表のスネア、裏のキック。間を縫うように響くパーカッション。色気を放つ厚いベース。この曲の核であるサビのメロディをループするシンセサイザー。オリジナルに見られた重さは影を潜め、全体的に軽やかで跳ねるような音でまとめられています。しかし薄くはありません。豊潤なリズムの渦に呑み込まれ、絡みつくシンセサイザー・サウンドに心を奪われ、身体は踊ることを求めます。
〈RHYTHM RED TMN TOUR〉の終盤、オリジナルとVERSION 2.0の要素をミックスした形で「RHYTHM RED BEAT BLACK」が演奏されました。随所にVERSION 2.0のメロディやフレーズを組み込み、間奏やエンディングのサイズを大幅に拡張しています。このライブ音源は『LIVE HISTORIA』で聴けます。最初から最後までこの曲独自の色気やループする音の魅力を楽しめる、素晴らしいパフォーマンスです。