TM NETWORK「N43」:哀愁に満ちた音に包まれ、白く輝く冬にメロディは響く

fujiokashinya
Oct 8, 2023

--

TM NETWORKで木根さんが担う大きな役割のひとつに作曲があります。多数を占めるのはバラードですが、それだけではありません。比較的速めのテンポでポップな曲をいくつか書いていて、2007年に発表した「N43」もその一曲に挙げられます。収録されている作品はシングル「WELCOME BACK 2」とアルバム『SPEEDWAY』です。

跳ねるようなメロディに明るさを感じるポップスです。アレンジからも全体的に明るい印象を受け、太いキーボードの音が存在感を示します。そこにエレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、オルガンといった音が加わり、哀愁を漂わせます。アルバムに収録された「N43 -1983 Edit-」というバージョンでは、エンディングがフルレングスで聴けます。長めのエンディングを飾るのはオルガンをはじめとした鍵盤の音。曲に漂う哀愁を一段と強め、心地よい響きに包んでくれます。

2012年には木根さんが「N43」をカバーしました。ソロ活動20周年企画の一環でリリースしたアルバム『キネバラ』に収録されています。アコースティック・ギターを中心にしたシンプルで柔らかい音のなかで、木根さんの歌が響きます。原曲のポップさやメロディの魅力を伝えつつ、優しさを加えたアレンジとボーカルです。

2021~22年の〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉で「N43」が披露されたときは、少し印象が変わります。パーカッシブな音を加えたからでしょうか、原曲よりもリズミカルでファンキー、肉厚な音になりました。木根さんのアコースティック・ギターも力強く響き、エレクトロニック・サウンドとの対比で存在感を示します。そして、間奏やエンディングでは小室さんの弾くオルガンの音が曲を覆い、ステージは美しいメロディと濃密な哀愁に満たされました。

--

--

fujiokashinya
fujiokashinya

Written by fujiokashinya

I am just a music/book lover. 音楽体験NOTESとブック・レポート My Twitter page: https://twitter.com/fujiokashinya

No responses yet