TM NETWORK「DIVE INTO YOUR BODY」:真夏に飛び込む熱気と色気のユーロビート・ソング
夏を呼び寄せ、真夏に飛び込むサマー・アンセム。1989年7月、TM NETWORKのシングル「DIVE INTO YOUR BODY」がリリースされました。真夏の夜の色気を漂わせるサウンドが聴き手を誘います。
当時はユーロビートの全盛期、まさに盛夏というべき時期です。『キーボード・ランド』(1989年8月号)における小室さんのインタビューによると、この曲はユーロビートのピークの「総集編」とのこと。ロンドンなどのスタジオで音楽を制作し、現地のダンス・ミュージックの隆盛を目の当たりにした小室さんならではの、当時の集大成といえる曲なのではないでしょうか。
祝祭的に盛り上がるギターとシンセサイザー、熱気と色気を帯びて曲を彩るボーカル、♪La la la♪ のリフレインと ♪We say yeah♪ で盛り上げるコーラス。聴き手を煽り、興奮のレベルを一段階も二段階も上げます。2013年のコンサート〈TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-〉で初めて生で聴いたとき、客席が一体となって叫ぶ ♪We say yeah♪ は予想どおり、いいえ予想を飛び越えて楽しかった。
「DIVE INTO YOUR BODY」にはオリジナルやそのインストゥルメンタルのほか、いくつかのリミックスが存在しています。12'’ Club MixやDUB INSTRUMENTAL MIXといった音源は、基本のアレンジはオリジナルと同じですが、曲のサイズや音のバランスを変えたバージョンです。たとえばベースの音が強調されたり、シーケンサーが印象に残ったりする箇所があります。多少なりともポップスの色が薄れて、ダンス・ミュージックの色が濃くなったといえます。
そして、1993年になってユーロビートの時代は去りましたが、12'’ Club Mixにサンプリング・ボイスや新しい音を被せたextended 12' version mixが発表されました。ユーロビートとハウスの要素が混ざり合った音は派手になれるかと思いきや、原曲の底抜けの明るさから離れた印象があります。ループするエレクトロニック・サウンドやその隙間から哀愁を感じます。
「DIVE INTO YOUR BODY」は当時のツアーで披露された別の曲が元になったとされます。その音源も映像も公開されていないため、当時のライブを観た人の記憶だけに残ります。聴いた人の感想によれば、サンバやラテン・ミュージックの感じだったそうな。ユーロビートとは直接結びつかない系統のアレンジですが、その音が影響して「DIVE INTO YOUR BODY」の祝祭的な雰囲気を生み出したのでしょうか。幻のライブ音源を聴いてみたいものです。