TM NETWORK「DETOUR」：タイム・カプセルを開けて、触れた未来の一片

1996年の終わりにTM NETWORKのベスト盤『TIME CAPSULE -ALL THE SINGLES-』がリリースされました。過去の時間を届けるこのタイム・カプセルには、未来がひとつ収められていました。アルバムの最後にボーナス・トラックとして収録された「DETOUR」という新曲です。

シンセサイザーとアコースティック・ギターで構成されたバックトラックに、三人のボーカルとコーラスが重なります。シンプルな音のバラードであり、ウツの言葉を借りれば「アルバムの後半に入っていそうなタイプの曲」です。

当時は、1994年にTMNが終了してから1999年にTM NETWORKとして再始動するまでの空白期間でした。そのためか「DETOUR」の名義は三人の名前が列挙されたものであり、再結成したわけではありません。とはいえ、同じ時期に小室さんが木根さんとウツのソロ活動に関わったこともあり、「DETOUR」を含めた一連の出来事は再結成のトリガーとはいえずとも、下地作りの契機になったのかもしれません。そして約一年後、小室さんはラジオで再結成を発表しました。

「DETOUR」の魅力は歌声の重なりと、それを引き立てるシンプルな音――すなわち歌声と音のコントラストにあります。バックトラックの薄さゆえに、重なった歌声の厚みやハーモニーが際立つのではないでしょうか。そうしたコントラストの魅力に当時は気づけなかったことが悔やまれますが、多少なりとも時間を費やし、音楽体験を積み上げた今だからこそ分かることなのかもしれません。

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