TM NETWORK「ANOTHER MEETING」:TMN終了を飾るバラード、未来に向けた再会の願い
TM NETWORKの「ANOTHER MEETING」というバラードは、1994年すなわちTMNの「終了」の年に発表された曲です。TMNの最終シングルに収録される予定でしたが、レコーディングが間に合わず見送られました。しかし、幸運なことにお蔵入りを免れ、少し後にリリースされたコンピレーション・アルバム『NAOTO KINE PRESENTS TMN BLUE』で聴くことができます。
目を引くのがソングライターの記載です。ウツが曲を、木根さんが詞を書くという唯一の組み合わせが見られます。そもそも作詞や作曲にウツの名前が載ることがTM NETWORKでは珍しく、この曲が最初で最後のケースです。1992~93年のT.UTUやBOYO-BOZOといったソロ活動で取り組んだ作曲の経験が活きたのでしょうか。
アレンジはとてもシンプルです。深い哀愁を帯びたアコースティック・ギター、控えめに音を添えるキーボード類、それらを包み込むベース。意図的に薄くしたであろうサウンドのなかで、ウツの歌声が響きます。体温を感じるボーカルというべきか、TM NETWORKで築いたクールな印象とは異なる熱を感じます。♪秋の風に歌をのせ♪や♪冬の星座の下♪のメロディや歌い方が好きです。
「ANOTHER MEETING」という曲名やラブソングの形をとった歌詞からは、再会を願う気持ちが感じられます。TM NETWORKの再集結、三人とFANKSとの再会。この時点で再始動が予定されていたはずもありませんが、見えない糸があって、「再び出会う」未来までつながっていたのではないかと思わせる曲です。