TM NETWORK「69/99」:TM NETWORKを解体してTMNのロック・サウンドを構築する
1990年にTM NETWORKはTMNにリニューアルすると、音楽スタイルをロックに振り切ったアルバム『RHYTHM RED』を発表しました。アルバムの曲は大なり小なり「脱TM NETWORK」ともいうべきアレンジが施されています。TM NETWORKの多くを知り、そのサウンドが好きだった人ほど、「TM NETWORKの解体」と思える音楽性の変化に驚いたのではないでしょうか。
リニューアル前の雰囲気から大きく乖離した曲のひとつが「69/99」です。エレクトリック・ギターのワイルドな音が前に押し出され、スネアの力強い音とともに聴く人の身体を直撃します。間奏で火花を散らすギターやスネアの音は、TM NETWORKが築き上げたイメージを粉砕してしまうくらい、アグレッシブでスリリングです。
「69/99」は、『RHYTHM RED』のリリース後に始まった〈RHYTHM RED TMN TOUR〉のオープニングを飾るという大役を得ました。このときのパフォーマンスで特筆すべきなのがMoog Memorymoogです。小室さんの弾くMoog Memorymoogはイントロで咆哮し、ぐっとアクセルを踏み込むようにしてライブの開幕を勢いづけます。LFO(Low-frequency Oscillator)でピッチを上下させて歪ませた音は、このライブの象徴ともいえるくらい強烈な印象を残しました。