Tim Berg, Norman Doray, Sebastien Drums「Tweet It」:エレクトロニック・サウンドに支配された身体はループの快感に酔う
「どうしてこんなに素晴らしい曲を今まで知らなかったのだろう?」と悔しがることが多々あります。何かのきっかけでその曲を聴き、そして感銘を受ける。リリースされたのは何年も前でありながら、その曲は新曲と同じくらいの新鮮さを届けてくれます。
僕がAVICIIを聴くようになったのは2013年のアルバム『True』からです。それから過去の曲を聴くようになりましたが、すべてをカバーするまでには至っていません。自分の知らないAVICIIのオリジナル曲やリミックスがある中、2019年12月に開催された〈AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING〉で「Tweet It」を知りました。この曲が始まって数秒で心をつかまれ、強く揺さぶられました。
「Tweet It」は、AVICIIがTim Bergという名義で、Norman DorayとSebastien Drumsとともに発表した曲です。AVICIIが音楽家としてのキャリアをスタートさせたばかりの時期ですが、それほど年数をおかずに代表曲「Levels」を世に送り出しているので、AVICIIは最初からAVICIIというか、別格だったのでしょう。そのことは「Tweet It」の素晴らしさによって補強されます。
ピアノが奏でるひとつのフレーズが曲を引っ張り、そのフレーズのリフレインが聴き手をボルテージを上昇させます。リフレインといっても、少しずつ変化していくので、その様子は螺旋階段を上るようだと表現できます。ぐるぐる回る音の中で、興奮の度合いが上昇していく。エレクトロニック・サウンドの螺旋に巻かれた僕らは、音楽的に支配され、その快感に陶酔します。