Tetsuya Komuro「GRAVITY OF LOVE」:煌めくエレクトロニック・サウンドと柔らかなメロディに導かれ、引力の虜になる

fujiokashinya
Nov 26, 2023

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TM NETWORKが表立った活動を見せず、潜伏していた1989年12月に、小室哲哉が最初のソロ・アルバムをリリースしました。『Digitalian is eating breakfast』と題したアルバムからは3曲がシングル・カットされていて、そのうちのひとつが「GRAVITY OF LOVE」です。

アルバムは1980年代後期らしいエレクトロニック・サウンドで固められ、「GRAVITY OF LOVE」も例外ではありません。パーカッションを効かせ、色っぽいベースの音を絡めたリズムに、薄く重なるシンセサイザーの音が響き、聴き手を包みます。アルバムには無機質さを表に出した曲もありますが、この曲は明るくて優しい、温もりを感じさせるサウンドです。冬に煌めくイルミネーションを思い浮かべます。冷たい空気のなかで、光に包まれた心はあたたかい。

小室さんのボーカルに乗って届くのは、緩やかな曲線を描くメロディです。甘くて、けれども甘すぎず、曲を美しく覆います。最後に登場する英語詞のメロディが特に好きです。♪Why don’t you turn on the radio♪から始まり、いくつもの言葉を連ね、ラストの♪Celebrate the gravity of love♪に至るまで、口ずさむだけで心地よくなり、その引力の虜になります。

「GRAVITY OF LOVE」で思い出すのはDÉ DÉ MOUSEです。Qeticというサイトに『Digitalian is eating breakfast』に言及したインタビューが残されています。インタビューによると、彼の「sweet gravity」という曲のタイトルは、制作中にこの曲を思い浮かべたことから生まれました。これもまた「引力が導いた」縁でしょうか。

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