TAKASHI UTSUNOMIYA ROCK SONGS PLAYLIST

fujiokashinya
Nov 13, 2019

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ウツこと宇都宮隆が初めてソロでアルバムを発表したのは1993年です。それ以降、シングルやアルバムをコンスタントにリリースしてきました。TM NETWORKが休眠している時期は、彼のソロ作品をよく聴いたものです。TM NETWORKとは異なる雰囲気のサウンドでウツの歌声はどのように響くのか。違いを味わったり、あるいは変わらない魅力を噛みしめたりと、ソロならではの楽しみ方があります。

加えて、ウツのソロ作品に惹かれたポイントとして「ロック」が挙げられます。聴く人によってロックの定義は異なるとは思いますが、僕は「重く分厚い演奏」という点を強調したい。テンポも音の構成もばらばらですが、ずしりと響く重心の低い音こそロックの個人的第一条件です。その中でウツの美声が映えるという魅力もあります。そこで、自分の好きなウツのロック・ロングを集めて、プレイリストをつくってみました。

UTSU ROCK SONGS PLAYLIST
01. Cool Jam, Cool Mode(アルバム『Water Dance』、1994)
02. 見えない灼熱(シングル「見えない灼熱」、1998)
03. Howling(アルバム『fragile』、1998)
04. インディゴの彼方(アルバム『TRILOGY』、2012)
05. 少年(アルバム『easy attraction』、1996)
06. GET WILD PANDEMIC -Album Mix-(アルバム『mile stone』、2018)
07. Blue Pain(アルバム『fragile』、1998)
08. Innocent Blue(アルバム『BUTTERFLY』、1993)
09. Peace of mind(シングル「見えない灼熱」、1998)
10. JUST A BOY(アルバム『fragile』、1998)

プレイリストの半分を占めているのが1998年の曲です。この時期は『fragile』というアルバムが発表されました。ギターやスネアの音を前面に押し出した硬質なロック・サウンドに痺れます。シングルカットされた「見えない灼熱」を聴いたとき、ベースやドラムの音が分厚くて衝撃を受け、スリリングに響くピアノに心を奪われました。シングルに収録された「Peace of mind」はアコースティック・ギターの響きが心に沁みるミディアムな曲ですが、表題曲と同様に重厚なリズムが印象的でした。また、「Howling」のスピード感あふれるギター・サウンドと危険な香りのする歌詞、アルバムの後半に収録された「JUST A BOY」の重厚なリズムとほろ苦い青春が薫る歌詞も良い。

ロックとの関わりで重要な要素が、まっちゃんこと松本孝弘とのコラボレーションです。1996年のシングル「少年」では彼が曲を書き、ギターも弾いています。その格好良さは説明するまでもないとは思いますが、圧巻の一言です。そして2012年のアルバム『TRILOGY』では、「インディゴの彼方」という曲にギターで参加しており、叙情的なディストーション・サウンドが素晴らしい。TM NETWORKの青春時代を共有した二人の共演は、それだけで感動するものがありますが、もちろんパフォーマンスの素晴らしさにも反映されています。TM NETWORKともB’zとも違う豊潤な世界が広がります。

ソロでデビューした頃、ウツは「T.UTU(ティーウツ)」という名義、ライブでは「T.UTU with The Band」という名称を使っていました。この時期で特に好きなのが「Cool Jam, Cool Mode」です。勢いのある演奏と荒ぶるボーカルは、曲に緩急をつけながらも、聴き手の体感速度を上げていきます。クールといいつつ、激しく火花を散らすロック・スタイルがとてつもなく格好良い。そして、1994年とほぼ同じメンバーで2017年に録音した曲が「GET WILD PANDEMIC」です。言わずと知れたTM NETWORKの曲のカバーです。TM NETWORKで発表したオリジナルやリメイクよりも粘度の高い歌い方になっていて、ウツやその世代が影響を受けたであろう時代のロックの香りがします。

「Blue Pain」と「Innocent Blue」は、ともに静と動の対比が鮮やかで、つなげて聴きたい曲です。どちらも曲名に “blue” が入っていますが、青という色から受けるイメージが幅広いことを体現しています。「Blue Pain」の重厚なリズムからイメージするのは、深みのある濃い青です。そのまま黒に呑み込まれそうな青。ウツの歌からは、狭い世界に自らを閉じ込める力とそれを破ろうとする力のせめぎ合いを感じます。一方、「Innocent Blue」では、最初に描かれるのは都市に広がる猥雑な世界であり、随所で響くオルガンの音が緊張感を高めます。けれども終盤では、夜から朝へと移り変わる街を表現したように明るく盛り上がり(透明感のあるピアノの音が良い)、晴れた朝の空が見せる透き通った青が浮かびます。

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Written by fujiokashinya

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