Takashi Utsunomiya「Perfect」:熱くて厚いリズム、重なるキーボード・サウンド、交錯する歌声
宇都宮隆のアルバム『wantok』には、米倉利紀が提供した曲がふたつ収録されています。ひとつはシングル・カットされた「道 ~walk with you~」であり、もうひとつが「Perfect」です。どちらも大人の色気を醸す歌やサウンドが聴けます。もちろん違いもあり、前者が重なる人生を表現する一方で、「Perfect」では誘うような甘い空気を感じます。
「道 ~walk with you~」のシングル・バージョンを編曲した吉田建が「Perfect」も手掛けています。二曲のアレンジに共通するのが打ち込みの分厚いリズムです。芯が太くて重いボトムが曲を支えます。リズムが厚いほどに、ボーカル・トラックの瑞々しさが際立つのではないでしょうか。
豊潤なリズムに包まれ、キーボードの太い音が駆け巡ります。オルガンから始まる後半の間奏が格好良くて特に好きです。ロックを感じるオルガンの音が曲を引っ張り、そこに重なるギターのクールに刻む音が色気を一段と強めます。やがてリズムだけになったところにコーラスが再び入り、ボーカルも加わることでラストに向けて走り始めます。
米倉利紀がメロディと詞を書き、ウツが歌います。誘惑というワードが似合う歌です。誘っているのか、それとも惑わされているのか。歌詞の描く世界と起伏のある旋律が重なり、聴き手のイマジネーションを大いに刺激します。コーラスは裏で張り巡らされて曲を彩りながら、ときに前に出て存在感を示します。最後のサビからエンディングにかけて響くコーラスが好きです。どこを聴いても色気に満ちて、聴き手を誘い惑わせます。