Takanori Nishikawa with t.komuro「FREEDOM」:歌と音の音楽的才能が衝突し、強烈な輝きとプレゼンスを放つ
顕現した西川貴教と小室哲哉のコラボレーション。2024年1月、ふたりが制作した「FREEDOM」がリリースされました。『劇場版 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のテーマ曲であり、熱く燃えるロック・ソングです。
西川貴教のパワフルなボーカルと、小室さんのメロディ、サウンド、コーラスが一体化し、相互作用を生みます。ふたつの才能がぶつかり、ともに持ち味を主張するコラボレーションです。決して平均化する、バランスをとるものではありません。音楽的才能の衝突が放つ輝きに目が眩みます。
「FREEDOM」のアレンジには、2023年に発表されたTM NETWORKの「DEVOTION」や「Whatever Comes」に通じるものがあります。シンセサイザーを軸にしてギターを織り込んだサウンドのなかで、より強く印象に残るのは強調されたリズムです。パーカッシブな音が際立つロック・サウンドというべきでしょうか。強烈なドラミングが畳みかけるように聴き手を襲います。
シングルに収録されたインストゥルメンタルを聴くと新しい発見があります。冒頭のボーカルをはじめ随所で感じるのが、西川貴教の声があるかないかで印象が大きく変わるということです。音だけを聴いたときはリフに小室さんらしさを強く感じる一方で、ボーカルが入ることで西川貴教の色が濃くなります。それこそがボーカリストの存在感であり、唯一無二の歌声を持つということなのかもしれません。歌のプレゼンスと音のプレゼンス、どちらに重点を置いて聴くべきか?何度も聴いて全力で味わい尽くしたい音楽体験です。