Takanori Nishikawa with t.komuro「Believer」:熱いロック・サウンドが曲を貫き、ボーカリストはメロディを操る

fujiokashinya
Mar 28, 2024

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西川貴教小室哲哉が共作したシングル「FREEDOM」には、表題曲に加え、もうひとつのコラボレーションが収録されています。曲名は「Believer」です。「FREEDOM」はロックの熱を感じるアレンジでしたが、それに輪をかけて濃厚なロックの色が「Believer」を染めています。ジャンルを細分化するならばヘヴィメタルでしょうか。

曲を貫くのは肉厚で筋肉質なギターの音。何度も畳みかける鋭く厚い音に身も心も支配されます。しかし、僕らの印象をコントロールするのはギターだけではありません。ギターに挑戦するのはロック・オルガンです。ギターやドラムに比べてオルガンの音は細いといえますが、ロック・ソングに混ざることで荒々しさや力強さをまといます。ギターなどとは異なる角度でロックを表現する、アグレッシブなのに美しさを感じさせる鍵盤サウンド。ぶつかって火花を散らし、やがて認め合い、音と音が共闘します。

シャウトを織り交ぜ、燃えるように熱いボーカル表現。「Believer」では、ロック・ボーカリストとして独自の地位を築いた西川貴教の魅力がこれでもかと弾けます。あらゆるメロディを意のままに操り、譜割や声の強弱で自分の表現に取り込む――優れたボーカリストは「メロディを操る」術に長けているのではないか。パワフルながらも表情豊かな歌を聴いていると、そんなことを思い浮かべました。

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Written by fujiokashinya

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