Takahiro “matzz” Matsuoka presents AFRO CUBAN BLUE Blue Note Percussion Compilation:パーカッションの多彩な魅力を集めたコンピレーション

fujiokashinya
Nov 14, 2022

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ポップ・ミュージックを聴くとき、パーカッションの音を意識することはどのくらいあるでしょうか。パーカッションが加わる曲はラテン・ミュージックのみならず、日本のポップスにも多くあります。その音は興味がなければ気づきにくいものの、魅力に触れると、驚くほど聞こえてきます。前に出て主張することもあれば、少し引いて曲のアクセントになることもできる。とりわけダンス・ミュージックに組み込まれたパーカッションは、その魅力を存分に発揮して、聴き手を快感の渦に巻き込みます。

『AFRO CUBAN BLUE Blue Note Percussion Compilation』は、パーカッションにスポットライトを当て、Blue Note Recordsの曲を集めたコンピレーション・アルバムです。quasimodeのパーカッショニスト、松岡 “matzz” 高廣が選曲を担当しています。ライブでは多彩なパーカッション・プレイを披露し、またDJとしてイベントを主催していました。何より観客が楽しく踊ることが大事だという信念のもと、音楽活動を展開しています。

本作にはパーカッションが鳴っているジャズやファンクが17曲も収められており、ほとんどの曲とは初対面でしたが、どれも素晴らしい。パーカッションの魅力を存分に味わえる優れた音楽ライブラリです。そのなかから特に印象的だった3曲をピックアップしてみます。

Ronnie Foster「Big Farm Boy Goes To A Latin City」

リーダーであるRonnie Fosterのオルガンと併走するように、軽快にコンガが鳴ります。叩くのはRay Armandoです。主役であるオルガンの魅力に心を奪われるのですが、コンガは他のパーカッションや、ファンキーなエレクトリック・ギターとともにオルガンを支え、時として前に出ます。ずっと鳴り続けるコンガの音からは、適度なペース配分で走り続けるジョギングのような心地よさが得られます。

Ronnie Laws「Always There」

色気を漂わせるRonnie Lawsのサックスが印象的なファンクです。その合間を縫うように、Joe Claytonのコンガが聞こえます。心地よいリズムを絶え間なく感じながら、サックスやエレクトリック・ピアノの音を楽しみます。パーカッションは絶妙な立ち位置で鳴ります。他の楽器をメインに聴いてもいいし、パーカッションのリズムに意識を集中させてみるのもいい。それを一曲の中で繰り返すのが楽しい。

Kenny Dorham「Afrodisia」

「聖典」とまで言われる曲であり、「踊れるジャズ」を語る上では避けて通れません。ホーンが奏でるイントロの後に、Carlos “Patato” Valdezのコンガが一際大きく高らかに鳴り響きます。とても厚くて、圧倒的な存在感に痺れる音です。また、Richie Goldbergのカウベルも小気味よく鳴ります。quasimodeのライブで何度も聴いた曲ですが、カウベルが入ることでぐっと気持ち良さが上がったことを覚えています。「聖典」の名は伊達じゃない。

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