T.UTU「Angel」:きらめく音を身にまとい、天使を誘惑するボーカリスト
宇都宮隆がT.UTUとして1993年にリリースした三枚目のシングルは、タイトルを「Angel」といいます。二枚目のアルバム『Water Dance』からシングル・カットされた唯一の曲です。盟友であるFENCE OF DEFENSEの西村麻聡が曲を書きました。
色気のあるファンク系ポップ・ロックという感じでしょうか。煌びやかなシーケンサー、メロディアスなギターのリフ、なめらかに流れるベースが曲を貫き、明るくて艶のある音の重なりを堪能できます。加えて大きなインパクトを残すのがギター・ソロです。間奏やエンディングで飛び出し、強烈なプレゼンスを示すギターの音に魅せられます。
ウツの瑞々しくて開放的な歌声がファンキーな雰囲気のアレンジに合っています。全体的にリズミカルな歌い方で、声を置くのではなく、跳ねるようにしてリズムに乗る歌です。Bメロやサビなど、コーラスとの相性も良く、重なって響くところに快感を覚えます。音とメロディと歌が一体となって、この曲の輝きを構成しているのでしょう。
「Angel」はT.UTU with The Bandのツアー〈Live Water Dance〉で演奏され、ロックの色が強くなりました。また、映像を観て印象的だったのが、スタンドマイクでマイクを挟むパーツをハンドマイクに付けていたことです。つまり、ウツはスタンドマイクの持ち方でハンドマイクを持ち、歌っていました。この曲だけの演出ではありませんが、その様子が格好良くて、手元が映るたびに釘付けになったものです。