Swedish House Mafia「Save The World」:力強さと明るさと切なさが混淆するEDMサウンドは世界を呑み込む
Swedish House Mafiaがシングル「Save The World」をリリースしたのは2011年。翌2012年に発表したアルバム『Until Now』から最初にシングル・カットされた曲です。ボーカルとして、スウェーデン出身のシンガーであるJohn Martinが参加しています。
躍動するリズムの上で響く強いタッチのピアノ、音を縫うように存在感を示すエネルギッシュな歌声。途中からは後ろで、無機質なのに太く、さらに哀愁を感じさせる音が鳴り始めます。この時期特有のソフト・シンセの音は徐々に大きくなり、Chorus部分では主役として、wobble bassや歌とともに曲を盛り上げます。力強さと明るさと切なさが混淆する2010年代前半のEDMサウンドです。10年以上を経ても、世界を呑み込んだ音はそう簡単に色褪せません。
いくつか制作されたリミックスで僕が気に入っているのはZeddとAlessoのトラックです。Zedd Remixには当時の彼らしさが色濃く反映されています。肉厚なwobble bassを効かせ、攻撃的なエレクトロニック・サウンドを重ねます。押し寄せるノイジーで濃密な音。聴き手を圧倒しながらも同時に快感を呼び寄せる、EDMらしい爆発力のあるリミックスです。
Alesso Remixは変化する音の雰囲気が好きです。軽い感じのリミックスかと最初は思いましたが、さにあらず。音は重くなり、歪みます。と感じたところで浮遊感のある音が顔を出し、爽やかで透き通った音にシフトします。上昇する飛行機が雲を突き抜けるイメージが浮かびました。解放感に満ち、心地よさを感じるうえに熱くなれるトラックです。