Steve Aoki and Yves V「Complicated [feat. Ryan Caraveo]」:原曲のロック・ワールドをエレクトロで改造、新しい音楽世界を描き出す
こんなに素晴らしい曲を知らず、聴くのが遅れてしまったとは不覚。リリースから一ヶ月が経ってから、Steve AokiとYves Vの「Complicated」をストリーミング・サービスで発見しました。Avril Lavigneの同曲をEDMにリメイクした作品であり、ボーカルにRyan Caraveoを迎えています。
新しいEDMソングに出会うたびに感じることなのですが、「Complicated」を聴いたときにもベースの音が良いと思いました。重厚なベースの音に誘われて、聴き手は曲の世界に取り込まれ、その一部と化します。大きな存在感を放ち、曲を引っ張るその様子から、大樹が地中に根を張るイメージが浮かびます。強くたくましく、簡単なことでは揺るがない音。できる限り良いヘッドフォンあるいはイヤフォンをつなぎ、周囲のノイズが入らない環境で聴いてもらいたい。
Avril Lavigneが歌うオリジナルの「Complicated」はもちろんロック・サウンドです。先だってSteve Aokiが手掛けた「Used To Be」(Matchbox Twentyの「Unwell」のリメイク)のように、ロック・テイストをエレクトロニック・サウンドで上書きし、新たな印象を聴き手に刻み込みます。Avril Lavigneのファンにはどのように響くのでしょうか。オリジナルを知らなかった僕は、聴き比べてみるとオリジナルからの乖離がむしろ心地好く感じました。これだけダイナミックに変わっているのであれば、原曲の面影を見出すより新しい世界に足を踏み入れると思って、別物として楽しむのがベターなのかもしれません。