Sabão「春~spring~」:メロディが新しい春の訪れを告げ、歌声は背中を優しく押す
春の陽気に導かれるようにして、Tamaと楠瀬拓哉のデュオSabão(シャボン)による「春~spring~」のリメイクを聴きました。Hysteric Blueの「春~spring~」がリリースされたのは1999年。この曲を僕が最初に聴いたのは、2016年に藍井エイルがカバーを発表したときです。そこから時間が経ち、オリジナルの音源ではないものの、Tamaが歌う「春~spring~」を聴くことができました。
三月に入り暖かい日が続くと、外を歩く足取りも軽くなります。そうしたなか、自作のプレイリストがエイルの「春~spring~」を再生したとき、ふとオリジナルを聴いてみたくなりました。リリース当時、気になった曲のCDをすべて買うのは音楽好きといえども難しかったのですが、今はストリーミング・サービスのカタログが充実しています。検索すると、すぐに「春~spring~ -Sabão ver.-」が見つかりました。
ずっとエイルのカバーを聴いていたので、「春~spring~」のメロディには馴染みがありました。けれども、歌い手が変わると同じメロディであっても異なる響きを持つものです。声の違いはもちろんのこと、細かい部分の歌い方も変わるため、メロディが新鮮に響き、そこから新しい感動が湧き出します。
Sabãoの「春~spring~」を聴くと、気持ちが落ち着きます。熱を感じるところと力を抜くところが緩やかな波形を描き、歌と演奏の穏やかなアップダウンが心地よく思えました。
冬から春に変わるときは風が柔らかくなり、その暖かさ、ささやかな優しさに少し前向きになれる……そんなイメージがTamaの歌声から思い浮かびました。相手の気持ちを受け止め、その心を軽くしてくれる、気の置けない友人のようでもあります。