Reol「激白」:近づいては離れ、また近くに迫る歌声の距離感
Dec 16, 2020
「HYPE MODE」でReolを知ってからそろそろ1年が経ちます。過去のアルバムを聴いていると、興味を惹かれる曲がいくつもありました。2枚目のアルバム『事実上』で、「サイサキ」の次に気になった曲が「激白」です。勢いと熱を感じるボーカルとサウンドが、聴き手の心に火を点けます。同時に、歌メロは流麗であり、それが勢いだけでは終わらない曲にしています。
「激白」のボーカルは、アグレッシブかつエモーショナルで素晴らしい。もちろん、他の曲で聴ける淡々としたクールな歌い方や言葉を矢継ぎ早に繰り出すラップも素晴らしいと思います。ヒップホップやEDM、ポップスやロック、はたまたチルアウト系のアプローチと、新たな曲を聴くたびに印象が変わり、多面的な姿を見せてくれます。そのなかでも「激白」で感じられる熱さは格別です。
「激白」をヘッドフォンで聴いていて、印象に残ったのがボーカルの「距離感」です。「ボーカルの位置」と表現した方が的確でしょうか。ボーカルの聞こえ方が曲のなかで微妙に変わる気がしました。
近くにいたと思ったら、ふとした瞬間に遠ざかり、そしてまた近づく。攻撃的で気圧されそうになった次の瞬間には、ふっとクールな表情を見せ、空白が生まれる。少しずつ変わる距離感が、「激白」のダイナミックさにつながっているのではと個人的には思っています。