Reol「No title -Seaside Remix-」:新しく塗り重ねた色がイメージの余白を広げる

fujiokashinya
Sep 18, 2022

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Reol「No title」は、本人が自らの原点と呼ぶ曲です。その新しいバージョンである「No title -Seaside Remix-」がリリースされました。リミックスを手掛けたのはぬゆりというアーティストです。オリジナルの空気を引き継ぎながらも、2022年の色を重ねています。曲に生まれた新しい余白に描き込まれるのは、聴き手が生み出す新しいイメージ。

オリジナルの「No title」を聴いたとき、モノローグのように響く歌から、言葉が消えずに残り続けるイメージが浮かびました。それを僕は「波間を漂うように」と表現しました。そのイメージの醸成にサウンドも貢献しています。穏やかで、軽やかで、ポップでありながら、どこか遠くから冷めた目で見ているかのような距離感の音。

Seaside Remixの音はオリジナルよりも厚くなり、立体的に響きます。オリジナルが醸す淡々とした印象の音からは、誰かが俯瞰的な位置で物事を捉えているイメージが浮かびましたが、このリミックスでは表情が見えそうなくらいに距離が近く、手を伸ばせば触れられそうです。同じ言葉であっても、まとう音が変われば、目の前に立ち上がる世界は変わります。新旧の違いを楽しみながら、刷新されたイメージの魅力を味わいます。

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Written by fujiokashinya

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