quasimode「The Man from Nagpur」:分厚いジャズ・サウンドがリズミカルに舞い、オーディエンスを踊る快感に導く

fujiokashinya
Jan 24, 2022

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「ジャズで踊る」というテーマを掲げたジャズ・カルテット、quasimode。バンドが「The Man from Nagpur」を発表したのは2007年です。二枚目のアルバム『The Land of Freedom』に収録されており、実質的なリード・トラックといえます。

僕は決してジャズに一家言あるような人間ではありませんが、それでも「ジャズは腰を据えて聴くもの」という先入観を持っていました。しかし、そんな思い込みをひっくり返し、「ジャズはダンス・ミュージックでもある」と教えてくれたのが、紛れもなくquasimodeです。ロックやエレクトロを聴いていた自分にとって「ジャズで踊る」のは何の違和感もなく、すんなり受け入れることができました。

初めて「The Man from Nagpur」を聴いたとき、ずしりと重みのある音に圧倒されたことを覚えています。ロックのギター・サウンドやエレクトロの四つ打ちとは異なる音の厚みを感じられるのがquasimodeのサウンドです。そのことは「The Man from Nagpur」を聴くとよく理解できます。

ベースとドラムで作る土台は強固で安定感があり、トランペットとテナーがさらなる厚みを加えます。重くて厚いリズムは体感速度を下げることなく、さらにピアノとパーカッションの生み出す音が加わることでリズミカルになり、軽快さを増します。「重」と「軽」が混ざり合うサウンドは、容赦なく聴く人の身体を包み、そこに待っているのは「踊りたい」という欲求のみです。ライブでも何度か聴くことができ、この心地よい音の渦に身を任せる幸せを味わえました。

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Written by fujiokashinya

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