Paramore『Brand New Eyes』:美しく響くメロディの連なりに心を震わせ、その眼差しを見つめる

fujiokashinya
Jun 1, 2019

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Paramoreのスタジオ・アルバム『Brand New Eyes』は2009年にリリースされました。僕がアルバムを聴いたのは2013年のことですが、内容の濃さに衝撃を受けたことを覚えています。そして今でも、聴きなおすたびに当時と変わらないインパクトを感じる作品です。

今でも僕はそれほどロックに詳しいわけではありませんが、自分の好きなものはよく分かっています。ハード・ロックのLED ZEPPELIN、ヘビー・ロックのLINKIN PARKに続き、このときからパンク・ロックのParamoreが個人的なロック・マトリクスに名を連ねました。激しいサウンドの中でメロディの美しさが感じられるロック・ソングに僕は惹かれるようです。その音楽的欲求を満たしてくれるのが『Brand New Eyes』でした。

アルバムを買おうと思ったのは「Ignorance」のミュージック・ビデオに心を撃ち抜かれたからです(当時、CDまたはダウンロードを購入する前にその判断材料になるものといえばYouTubeでした)。曲もパフォーマンスも映像表現も、どれをとっても圧倒されるミュージック・ビデオです。音の厚み・勢いがあって、それでいてメロディもいい。

キャッチーなフレーズを織り交ぜ、あふれんばかりに詰め込まれた言葉がトランス状態を呼び込みます。多くの言葉が音符の間をすばやくすり抜けていきながら、時としてメロディにしっかりと乗る。それが、スピードを落とさずメロディの良さが伝わる要因だと思います。高揚が次の高揚を呼んで走り続ける3分半の音楽体験。

『Brand New Eyes』は他の曲も負けず劣らず、強烈な輝きを見せます。アルバムの中で「Ignorance」と同じくらい好きな曲が「Brick By Boring Brick」です。上昇気流のように上がっていくHayley Williamsのボーカルが際立ちます。鮮やかでありながら扇情的、ときに内省的に響いて心の奥に忍び込んでくる。表情を変える歌声に魅了されます。

ミュージック・ビデオは「不思議の国のアリス」をオマージュしたように最初は思ったのですが、全体に漂う闇の部分が単純な解釈を許しません。子供向けの童話がもともとは違う話だったといわれるように、生々しいダークサイドが漏れ出る映像表現です。ライブで盛り上がること間違いなしのアッパーな曲ですが、映像とのミスマッチがとても印象に残ります。

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Written by fujiokashinya

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