Paramore「Ain’t It Fun」:ロックとファンクの共闘がバンドのイメージを振り払う
Hayley Williams、Jeremy Davis、Taylor Yorkの三人体制になったParamoreが、スタジオ・アルバム『Paramore』をリリースしたのは2013年です。それまでの要素がすべて消えたわけではないものの、バンドは新しいフォーマットになりました。単色からカラフルになったというべきか、意表を突くメロディやアレンジを楽しむことができます。
サウンドの面でも、シンセサイザーやパーカッションの音が多少なりとも前に出てきており、曲によってはParamoreらしからぬ雰囲気のギターやベースが鳴ります。そうしたアルバムのなかでも最も強く印象に残った曲が「Ain’t It Fun」です。第57回グラミー賞(2015年2月に発表)において、Best Rock Songに輝きました。
ギターとベースの音はとてもファンキーで、これぞ踊れるロック。Taylor Yorkの刻むギターはノリが良くて、曲の全体像を形づくります。Jeremy Davisのベースはいつになく前に出て、身体を刺激するリズムを聴き手に届けます。そして、Hayley Williamsの歌は華麗に、そして自由に舞い、曲の楽しさを体現しています。
オルタナやパンクといったイメージが強いParamoreがダンス・ミュージックへのアプローチを見せた点で、「Ain’t It Fun」は異色であり、バンドにとって重要な曲だったと思います。メンバーが三人になったことでリミッターを外したのでしょうか。自ら背負ってきたイメージ――それは枷かもしれない――を打ち破ったParamore。アルバムのなかでも特別な輝きを放つ「Ain’t It Fun」で踊りましょう。