ORESAMA「迷子のババロア -Dressup cover-」:街の陰に迷い込み、ぶつかり形をなくすエレクトロニック・ミュージック
ORESAMAが自身の曲を再解釈する「Dressup cover」企画。その6曲目は「迷子のババロア -Dressup cover-」です。Dressup coverの対象になるのはアルバム『oresama』の収録曲が多めであり、「迷子のババロア」もそのひとつです。
「迷子のババロア -Dressup cover-」は、ORESAMAがいくつか持つ顔のうち、EDMの要素を強く押し出したアレンジです。ベースやシンセサイザーの音が印象に残ります。2020年10月のライブでは、このアレンジで披露されました。それ以前から「迷子のババロア」が演奏されるときは、Dressup coverを思わせるアレンジでした。ライブでのアレンジをブラッシュアップして、Dressup coverとして発表したのでしょうか。
歌詞は、壊れやすい心をババロアにたとえて描きます。街の中に迷い込み、喧騒に呑みこまれ、ぶつかり崩れ、やがて自分の位置すら分からなくなり、形を失っていきます。最後は自分の存在を消してほしいとまでいう。明るいとは言いがたい歌詞に、地を這うようなエレクトロニック・サウンドが絡み合い、言葉の陰鬱さが引き立てられます。
ORESAMAを聴いていると、「綺麗なものばかり」や「密告テレパシー」など、ネガティブな言葉が印象に残ることがあります。特に「陰」や「毒」の部分が目立つのがに「迷子のババロア」です。とはいえDressup coverの音で包まれると聴きやすく、つるっと飲み込めます。飲み込んだあと、言葉に内側から侵食されるのかもしれませんが。