ORESAMA POPUP BOX Supported by huez
2019年12月、〈ORESAMA POPUP BOX Supported by huez〉がShibuya WWW Xで開催されました。ORESAMAのぽん(ボーカル)と小島英也(ギター)をサポートしたのは、MONICO(DJ)、三浦光義(ベース)、大松沢ショージ(キーボード)です。
僕はキーボードを入れたORESAMAのライブを初めて観ました。ORESAMAが企画した今年のイベントではすでに大松沢ショージが参加しており、その流れでこのライブでも演奏したものと思われます。ORESAMAのワンマンライブに鍵盤奏者が加わるのは、初めてなのではないでしょうか。
これまでにリリースされた曲を聴き、ライブを観ていると、鍵盤の音を生演奏で聴きたいと思っていました。ORESAMAの曲は心に刺さるフレーズが多く、ギターに加えてピアノやシンセサイザーからも生み出されます。そのため、キーボードが加わる今回のライブに寄せる期待は否が応にも大きくなります。そしてその期待は予想に違わない部分と、予想を超えたもの、両方ありました。
キーボードの演奏が光った曲として最初に挙げるべきなのは、2019年4月にリリースしたシングル「OPEN THE WORLDS」です。ハイテンポのピアノが格好良く、イントロから心がつかまれます。ライブでは、シングルで聴くよりもテンポが速いような気がしましたが、気のせいでしょうか。気のせいだとすれば、ジャズを思わせる疾走感、ホットな演奏に身も心も奪われていたのだと思います。ライブを盛り上げる曲としてまた新しいパターンが生まれたのではないでしょうか。
今回のライブでは、huezというユニットが空間演出を手掛けました。これまでにもORESAMAのライブでレーザー光などの演出で協力していましたが、今回は踏み込んで映像やライティング(ステージを囲むLEDなど)についても演出したとのことです。「ドラマチック」のミュージック・ビデオを使ったVJや、「Waiting for…」やDJタイムのライティングに魅了されました。
その中でもインパクトの大きかったのが、「SWEET ROOM」というバラードにおける演出です。スクリーンには、鍵盤が円の形に並び、ゆっくりと回る映像が映し出されます。映像の中の鍵盤は、実際のキーボードと連動するという仕掛けです。すなわち、キーボードを弾くと、映像の中でも同じ鍵盤に色が表示され、音の減衰とともに消える。歌声と音と映像が重なり合う、視覚と聴覚のアンサンブルを味わえました。
そして、キーボードを入れたことでパフォーマンスに厚みが増したのが「ワンダードライブ」です。シンセサイザーの音でぐいぐい引っ張る部分があり、そのあたりがライブでも強調されていました。生演奏だとミキシングの調整で、鍵盤の音が前に出るので、その存在をより強く感じることができます。今後どうなるのかは分かりませんが、このスタイルはとても好きです。もう一度いいます。とても好きです。