ORESAMA「秘密 -Dressup cover-」:冷たい肌触りのDressupが霧の中に誘い込む

fujiokashinya
Nov 3, 2020

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ORESAMAのセルフ・カバー企画「Dressup cover」の第5弾は「秘密 -Dressup cover-」です。第4弾までのポップな感じの曲とは方向性が変わり、今回はバラードの「秘密」が選ばれました。

「秘密」は初期のころからあった曲だそうですが、リリースされたのは2019年1月。ピアノの音を中心にしたアレンジで、ささやくような歌声が印象的でした。終盤に至り、ストリングスが加わり、リズムが分厚くなると、一気に曲は盛り上がり、歌もまた気持ちが込められ、抑えていたものを吐露するように力強く歌います。物憂げな夜が通り過ぎて朝を迎えたような、前向きな気持ちで曲が終わります。

「秘密 -Dressup cover-」で最初に印象に残るのは、地を這うようなベースや物憂げに爪弾くギターの音です。哀しげというべきか、寂しげというべきか。光の届かない場所で、ぼんやり佇んでいる感じがします。

全体的に音はメランコリックなトーンで奏でられ、ボーカルも感情を乗せずに(あるいは封じ込めて)淡々と響きます。後半になるとストリングスの音やエレクトリック・ピアノらしき音が重なり、目の前が明るくなります。しかし、2019年のバージョンでは盛り上がっていった最後の展開も、Dressup coverでは抑え目。わずかな間だけ晴れて、再び濃くなる霧をイメージしました。

オリジナルとのアレンジの違いもさることながら、Dressup coverを続けて聴いていると、これまでとの違いも印象に残ります。他のDressup coverにおける煌びやかな雰囲気とは異なり、ひやりとした冷たさを感じるアレンジが聴き手の印象を刷新します。

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Written by fujiokashinya

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