ORESAMA「密告テレパシー -Dressup cover-」:新しい音のアプローチがメロディから色気を引き出す
Mar 10, 2021
ORESAMAが発表したDressup coverの11曲目は「密告テレパシー -Dressup cover-」です。オリジナルの「密告テレパシー」はアルバム『oresama』に収録されています。端々に湿り気を感じるメロディが特徴的で、アレンジと相俟って、どことなく歌謡曲の雰囲気が漂います。
メロディが持つウェットな空気は、オリジナルでは歌謡曲を感じさせる要因でしたが、Dressup coverのフィルターを通すと色気に変わりました。その違いは、クールに刻むギター、艶っぽく奏でるオルガン、ずしりと響くベースとキックといったアレンジが大きいのかなと思います。
「密告テレパシー」の特徴として、メランコリックな言葉が並ぶ歌詞も挙げることができます。三角関係を描いていると僕は思い込んでいたのですが、Dressup coverをきっかけに読みなおすと、浮かび上がったのは思い詰めるストーカーの姿。♪テレパシーで恋を告げて イケナイ気持ち 君にバレたい♪ というところは、三角関係であればまだ穏やかで、ひとたびストーカーの姿を想像すると、なかなか怖いものがあります。
ボーカルのぽんが歌うと言葉はコーティングされ、あまり怖さを感じません。けれども、文字を追うと危ない香りが強まります。密かに告げる怖さよ……。