ORESAMA「ワンダードライブ -Dressup cover-」:音の記憶を刷新し、新しい印象を生み出すドレスアップ
ORESAMAによる10作目のDressup coverは、「ワンダードライブ -Dressup cover-」です。通算3枚目のシングルであり、2017年の再デビューにあたって最初にリリースされた曲。ライブではほぼ必ず演奏され、オープニングでライブに火を点ける、あるいは最後に演奏されて全力疾走でライブを締め括る役割を担います。
デビュー曲やヒット曲のように、オリジナルのアレンジが浸透している曲ほど、大胆なリメイクはしづらいものです。ライト層はもちろんのこと、長年聴いているファンですら置き去りにされることもあります。そのリスクを背負いながらも、アレンジを大きく変えてリメイクしたり、別の音を加えてリミックスしたりと、オリジナルのイメージを破壊する勢いで曲を再構築する。そういうチャレンジは個人的には大好きです。
最初に「ワンダードライブ -Dressup cover-」を聴いたとき、記憶に蓄積された「ワンダードライブ」と一致せず、戸惑いながら、迷路を歩いている感覚に陥りました。けれどもその第一印象が落ち着くと、オリジナルとの違いを味わうのが楽しくなってきました。音の記憶は刷新され、新しい印象が生まれます。
Dressup coverでまとう新しいサウンドはEDM。エレクトロニック・サウンドは分厚く聴き手を圧倒するものではなく、薄く重ねられています。ひとつひとつの音がクリアに響き、それぞれの魅力がダイレクトに迫ります。ボーカルは楽器の一部になったかのようにサウンドに溶けて、しかし埋没せずに存在感を示しつつ、一体化します。絶妙なバランスで歌声と音が並び立つアレンジです。