LUNA SEA「BEYOND THE TIME」:ロックに染まる音のなかで唯一無二の歌声が響く
TM NETWORKがシングル「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~」をリリースしたのは1988年。それから30年の時を越えた2019年、LUNA SEAによるカバーが発表されました。LUNA SEAが担当したアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のオープニング・テーマは3種類あり、第3弾が「BEYOND THE TIME」です。
そこそこ長く音楽愛好家を続けていると予想外の出会いがあります。カバーという形ではありますが、TM NETWORKとLUNA SEAという世代もジャンルも異なるグループがつながるとは思いもよらず、大いに驚きました。LUNA SEAによるアレンジで生まれ変わった「BEYOND THE TIME」を実際に聴いてみると、その驚きは増幅します。
TM NETWORKのオリジナルやライブ・テイクでは、ギターやサックスの存在感が小さいわけではないにしても、基本はシンセサイザー・ミュージックです。だからこそ、オリジナルとカバーの落差が生まれます。重厚なギターが咆哮してビートが強調され、ロックに染まったLUNA SEAの「BEYOND THE TIME」はとても新鮮で、曲が新しい生命を得たと思えました。また、RYUICHIのボーカルは粘り気があり、無二の歌声を持つ彼ならではのパフォーマンスです。TM NETWORKでウツの歌を聴き慣れている僕としては、その違いも興味深くて楽しめました。
以前、HYDEが歌う「DEPARTURES」を聴いて「小室さんのメロディをHYDEが歌う」という衝撃的な体験をしました。今回の「小室さんのメロディをRYUICHIが歌う」という体験は、それに匹敵します。1990年代における日本の音楽産業の盛期を演出したミュージシャンたちが、音楽を通して、その才能を交錯させる。「音楽バブル」に功罪があるならば、これらのコラボレーションは間違いなく「功」ではないかと思います。