LINKIN PARK「VICTIMIZED」:火花を散らすビートとシャウト、押し寄せるリズムとラップ
LINKIN PARKの「VICTIMIZED」は、2012年に発表したスタジオ・アルバム『LIVING THINGS』に収録されています。乱高下が激しい音のなかで、交互に飛び出すMike ShinodaとChester Benningtonの声が印象に残ります。
Mikeの歌、Chesterのシャウト、Mikeのラップ、そしてChesterのシャウト。ボーカル/ラップの熱やスピードが上下し暴れる展開は、荒ぶる海を思わせます。Mikeはクールに、Chesterはホットに。キャリア初期の荒々しさとはまた違う、重厚なたくましさを見せてくれます。
大きなインパクトを与えるRob Bourdonのドラミングも「VICTIMIZED」の特徴です。特に、Mikeが軽快に言葉を連ねる裏でRobの叩く音はとてもリズミカルで、ラップと相俟って気持ちを熱くさせてくれます。2010年のアルバム『A Thousand Suns』にも見られたリズムであり、その点でも初期の曲と異なる魅力を感じることができます。
MikeのラップやRobの軽快なドラムをもっと聴きたいと思ったそばから曲は再び豹変し、Robの生み出すアグレッシブなビートが聴き手を殴打します。そしてChesterの全力シャウトに呑み込まれて、気づいたら放り出されるように曲が終わります。残された無音の時間が、それまでの嵐の激しさを物語ります。