LINKIN PARK『THE HUNTING PARTY』:ロックを狩り、音楽を捕獲するハードな音楽狩猟体験
2014年にLINKIN PARKの『THE HUNTING PARTY』がリリースされました。ギターを軸にした分厚い音、ダイナミックな起伏を見せる展開、美しいメロディといったLINKIN PARKの魅力が詰め込まれた作品です。ギターの音が前に出て全体像を構成し、ドラムの音がくっきりとした輪郭を与えます。エネルギーを溜めて一気に放出する展開は、心も身体も熱くなります。時として激しく荒ぶるChester Benningtonのボーカルは美しさも見せ、Mike Shinodaのラップとボーカルは冷静に曲を支えます。
ラッパーのRakimが参加した「GUILTY ALL THE SAME」や重厚な音が響く「UNTIL IT’S GONE」は、タイプは異なるもののアグレッシブな曲です。しかし聴きやすく、聴き手を突き放しません。他にも印象深い曲があり、なかでも僕が好きなのが「WASTELANDS」です。LINKIN PARKがファンクの要素を取り入れたことに驚きました。ロックがファンキーな雰囲気をまとうと新たな魅力が生まれます。また、Chesterが切々と歌い上げる「FINAL MASQUERADE」では、流れるメロディの美しさをストレートに体感できます。
聴くたびに『THE HUNTING PARTY』は聴き手に染み込み、濃厚な音楽体験を提供します。サウンドから、歌から、バンドのコアを感じ取り、つかみ、ぐいっと引き寄せます。リリース当時、ワーナー・ミュージック・ジャパンのページでは「狩られろ」というコピーが踊りましたが、むしろ主客をひっくり返すべきでしょう。狩るべし。我々が強くコミットすることで『THE HUNTING PARTY』は完成します。