LINKIN PARK「She Couldn’t」:低空を漂う音と声のループに、バンドの源流のひとつを見る

fujiokashinya
Aug 27, 2020

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LINKIN PARKがデビュー作『Hybrid Theory』を世に出したのは2000年のことです。その20周年を記念してリリースされるボックス・セットに、アルバム収録曲や未発表曲のデモを集めたコンピレーション盤『Forgotten Demos』が含まれています。そのなかから先行して、「She Couldn’t」というデモの配信が始まりました。

LINKIN PARKのメール・マガジンで「She Couldn’t」が公開されたことを知り、すぐにアクセスして聴きました。淡々と響くベースやキック、爪弾くギターの音、低空飛行を続けるChester BenningtonのボーカルやMike Shinodaのラップがとても心地よい。しかし音はやがて熱を帯び、気づけば聴き手を侵食し、潜り込み、全身を駆け巡ります。

「She Couldn’t」にはChesterならびにMikeの声だけではなく、The High and Mighty「B-Boy Document 99 [feat. Mad Skillz and Mos Def]」から、ボーカルの一部が使われています。そのあたりの権利関係がお蔵入りになった理由のひとつのようですが、とうとうクリアになったということでしょうか。ブートレグではなくオフィシャルな形で聴けることに感謝します。

「She Couldn’t」はChesterが加入した頃のデモのひとつだそうな。『Hybrid Theory』のヘビー・ロックというアプローチとは異なり、エレクトロやヒップホップをメインにした「She Couldn’t」に、バンドの源流のひとつを見ました。黎明期に封印された曲が解禁されるのはコレクターズ・アイテムとして貴重ですが、個人的には、バンドについて語れる内容が増えることを嬉しく思います。

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