LINKIN PARK「Pushing Me Away」:ヘビー・ロックを凝縮した音の塊が聴き手を襲う

fujiokashinya
Aug 4, 2024

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2000年にLINKIN PARKがリリースしたアルバム『Hybrid Theory』は、デビュー作でありながら評価が高く、バンドのキャリアを通じてライブで定番になった曲がいくつも収録されています。今もなお、LINKIN PARKといえばこの作品を挙げる人が少なくないことは容易に想像できます。

2005年頃に『Hybrid Theory』を初めて聴いたとき、最初に好きになった曲が「Pushing Me Away」です。肉厚なギター・サウンドに埋め尽くされた音楽空間で、音の塊が聴き手を襲います。ヘビー・ロックらしさを凝縮したサウンドが、オールディーズなロックを好む傾向にあった自分を現在進行形のロック・ワールドに突き落としました。

この曲には「P5HNG ME A*WY」という別のアプローチがあります。『Hybrid Theory』の曲を解体して再構築したアルバム『Reanimation』に収録されたバージョンです。硬質でな打ち込みを主体として、ノイジーで鋭利なギターの音が響くアレンジ。ボーカルとラップは分解され、さらに別の声も加わりました。ギターと声が重なり厚く熱くなっていく展開が、オリジナルとは異なる興奮を聴き手に与えます。

オリジナルのアレンジで演奏したライブ音源は公開されていません。2003年のテキサスでのライブで披露されたのは「P5HNG ME A*WY」です。2007年頃にはピアノの伴奏で歌が響くバラードに変わっていて、僕が観たときもバラードとして演奏されました。むき出しにされたメロディが一筋の光を放ちます。分厚いロック・サウンドを代名詞とするLINKIN PARKにとって、シンプルな音で歌を引き立てるバラードは自らのイメージを覆した貴重なアプローチです。

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Written by fujiokashinya

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