LINKIN PARK「Over Each Other」:メロディを操り、ストーリーを描くボーカル表現
クリアに響く芯の太い歌声。LINKIN PARKが2024年11月にリリースするスタジオ・アルバム『From Zero』から、新曲「Over Each Other」が公開されました。先行して配信されたのはこれで三曲目です。どの曲もタイプが異なり、各々の角度からLINKIN PARKの新しい姿を伝えます。
Emily Armstrongのボーカルを前面に押し出している点が「Over Each Other」の特徴です。メロディが持つ魅力と、それを表現するEmilyの歌声の魅力が伝わります。何度もリフレインする♪Over each other♪のメロディや、バリエーションのある歌い方が好きです。
ボーカルは音のレンジが比較的狭く、聴きやすい範囲にあると思いました。耳に心地よい歌です。そのためか、若干の強弱をつける、静と動のバランスで変化を見せるといったアプローチが活きます。歌に込められた感情が沈んだかと思うと、直後に一転して強く歌う終盤が強く印象に残りました。ずっと抑えていたけれど、堪えきれず気持ちが溢れる。そんな表現が見られるボーカルです。
バックトラックはエモ系ロックに寄せたアレンジでしょうか。ベースが描く緩やかなライン、ギターとドラムが重なって生まれる重厚感。音が薄い序盤はもちろんのこと、音を重ねて厚みを出してからも、ボーカルを引き立てるために音が配置されていると感じます。歌と音の相性がいいのか、歌メロとギターなどウワモノの旋律が馴染んでいるのか。歌を聴き、音を聴いて、それらが一体化した「Over Each Other」の虜になります。