LINKIN PARK「New Divide」:重くて厚く、切れ味鋭いロック・サウンドが聴き手を圧倒する
LINKIN PARKの「New Divide」は2009年にシングルとして発表された曲であり、映画「Transformers: Revenge of the Fallen」の主題歌に使われました。アルバムでいうと、2007年の『Minutes To Midnight』と2010年の『A Thousand Suns』の間に位置します。
「New Divide」は肉厚のギター・サウンドが最大の特徴です。巨大なロック・サウンドが眼前に存在し、聴き手を圧倒し、呑み込みます。「Given Up」や「What I’ve Done」など『Minutes To Midnight』の傾向を踏襲しつつ、音の密度がぐっと上がって、『Hybrid Theory』や『Meteora』とは異なる厚みと切れ味が感じられます。また、ヘビーな音に負けず劣らず、存在感を示すのがChester Benningtonの歌声です。歌は「What I’ve Done」で聴けるものに近く、力強く伸びる声が感動を呼び起こします。
この時期は、初期の路線と異なる部分が多く、戸惑ったファンも多かったことでしょう。バンドへの印象を変えた大きな要因は、封印とはいわないまでもラップの割合が減ったこと、鋭利で硬質なギターの音が目立つようになったことが挙げられます。今となってはそれもまたLINKIN PARKなのですが、当時、違和感を抱くこと自体は理解できます。
けれども、『Minutes To Midnight』に対してネガティブな反応を示していた外野は、「New Divide」を聴いて黙ったのではないでしょうか。また、『Minutes To Midnight』の路線を受け入れがたかったリスナーも、この曲で再び取り込まれたのではないでしょうか。実際にどうであったか、その痕跡はひとりひとりのなかにしか存在しませんが、そう思いたくなるほどの力を持った曲です。