LINKIN PARK「Lost」：過去の眠りから目覚めた曲は、もうひとつの未来を映し出す
Feb 19, 2023
LINKIN PARKが二枚目のスタジオ・アルバム『Meteora』を発表したのは2003年のことです。その20th Anniversary Editionが2023年にリリースされます。アルバム収録曲に関する数パターンのデモやライブテイクに加え、録音は済んでいたものの発表されなかった曲をまとめた大ボリュームの記念盤です。リリースに先駆け、未発表曲のひとつである「Lost」が公開されました。
今回の企画のために当時のデータを整理して「Lost」を発見したのだと思いますが、Mike Shinodaは “finding a favorite photo you had forgotten you’d taken” とたとえました。現像したままだった写真が、あるとき机の抽斗から出てきたような感覚でしょうか。スパイスのようにエレクトロニック・サウンドを散りばめたヘビー・ロックは、確かにこの時期のLINKIN PARKを思わせます。ラップではなくコーラスに徹するMike Shinodaの声が、Chester Benningtonの美しい歌声や激しいシャウトを引き立てます。
「Lost」に残された音や歌からは、端々に「Numb」の雰囲気を感じました。『Meteora』には、一枚目で打ち立てたラップ・ロックとはテイストが異なる「Numb」のような曲があり、その路線を徹底すれば「Lost」も収録曲のリストに名を連ねたかもしれません。未発表曲は単にレアというだけではなく、もしかしたらあったかもしれない世界を想像させてくれる、特別なパズルのピースです。
