LINKIN PARK and Steve Aoki「Darker Than The Light That Never Bleeds -Chester Forever Steve Aoki Remix-」:過去に刻まれた歌声を交差させ、旅立った盟友に手向ける
Chester Benningtonがこの世を去るという信じられないニュースが駆け巡った2017年7月。その衝撃は今もなお忘れられません。そんなバッド・ニュースからしばらく時間が経ったとき、LINKIN PARKとSteve Aokiの連名で「Darker Than The Light That Never Bleeds -Chester Forever Steve Aoki Remix-」という曲が発表されました。
この曲のマテリアルは、かつて両者のコラボレーションにより制作された「A LIGHT THAT NEVER COMES」と「Darker Than Blood」です。二曲をつなげ、さらにリミックスして音を重ねました。下敷きにしたどちらの曲とも異なるサウンドで構築されたEDMです。哀愁を放つメロディは肉厚なエレクトロニック・サウンドに包まれ、夜空に打ち上がる花火のように輝きを放ちます。
最初は「Darker Than Blood」に残るChesterのボーカルが響き、やがて「A LIGHT THAT NEVER COMES」で吹き込まれたChesterのボーカルが聞こえます。ひとつの曲で交差するふたつの歌声は、新しく録音したかのようです。今もどこかでChesterが存命で歌っていると思うくらい、瑞々しさと躍動感を示します。感傷や矛盾は承知のうえで、歌声から生命の息吹を感じます。
Chesterの美声はヘビー・ロックの音に映える歌声であり、バラードでも聴き手の心を揺さぶる歌声であることは、LINKIN PARKが証明しました。加えて、唯一無二の歌声はEDMというエレクトロニック・サウンドの塊のなかでも存在感を放ちます。失ったものの大きさを改めて感じさせますが、しかしそれ以上に色褪せない魅力を伝える曲です。