Kygo, Zara Larsson, Tyga「Like It Is」:エレクトロニック・サウンドの波間に漂う歌声
Kygoの音に加わるZara Larssonの歌とTygaのラップ。絶妙にレトロな雰囲気を醸しながら、身体を刺激する心地好いダンス・ミュージックが生まれました。タイトルは「Like It Is」です。
Kygoの曲に対して、僕はポップというイメージを持っています。Selena Gomezが歌う「Ain’t Me」や、AVICIIとのコラボレーション・ソング「Forever Yours」などを聴くと、その音に間口の広さを感じます。「Like It Is」も聴きやすくて、シンプルに組み立てられたサウンドはそれぞれの音が際立ちます。僕は特にベースの音が印象に残りました。曲のボトムを支え、全体をまとめる役割。心の一部を委ねられる、そんな音なのではないかと思います。重なった音の隙間から、アンビエント・ミュージックにも似た穏やかな雰囲気が漂います。
Zara Larssonの歌声は、彼女にしかない色を見せます。自身の「Lush Life」や「All The Time」、David Guettaとの「This One’s For You」、BTSとの「A Brand New Day」など、低めの声を活かしたエレクトロ系のポップスは聴いていてとても心地好い。その雰囲気は「Like It Is」でも変わらず、音と溶け合って新しい価値を生み出します。そして、そのボーカルの間に差し込まれるTygaのラップがアクセントになり、各自の声が互いを引き立てます。曲の後半では、彼女によるコーラスとボーカルが絡み合い、美しい氷像を鑑賞しているかのような、心地好い歌声のインスタレーションを堪能できます。